火事場を乗り越えつづけたことが自分を成長させた
GunosyのVPoE加藤慶一のキャリアパス

プロフィール|加藤 慶一 氏
1986年生まれ、埼玉県出身、早稲田大学大学院卒業。ソーシャルゲームの開発、アドテク企業でのデータエンジニアを経て2015年12月Gunosy入社。「ニュースパス」の立ち上げや広告配信ロジックプラットフォームなどを担当。2017年10月からエンジニア採用の責任者としての役割も担う。2018年9月、VPoEに就任。

アルバイト先でiPhoneアプリとのプログラミングと出会う

ー加藤さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

加藤: 中学・高校時代にホームページを作ったり、パソコンを自作してみたり、あとあまり大きな声では言えませんがその頃P2Pでのファイル共有なんかも流行っていてルータの設定を変えてみたりだとかでネットワークに興味を持ち始めました。そんなこともあり大学は推薦だったのですが、その中からコンピューターサイエンスを選択しました。

中学生からパソコンを使っていたのですが、プログラミングは大学の授業ではじめて経験しました。Javaの授業でオブジェクト指向とか言われてもさっぱり分からないレベルでした。なのでプログラミングの課題はほぼ友人に頼って乗り切ったり、必修科目の単位を一部落としたりと、とてもエンジニアを目指すとは言えない学生時代を過ごしていました。

大学4年生で研究室配属があるのですが、配属先ではOBがやってるベンチャー企業でアルバイトする慣習があり、先輩から「最初のうちはプログラミングができなくても、やってるうちにどんどんできるようになった」と聞いて、それはやる価値があるなと手をあげてみました。

今考えれば、アルバイト先もよく雇ってくれたなと思いますね。アルバイトの面談があり、先方に「書いたコードある?」と聞かれて、授業で書いたプログラムを見せたのですが、それで雇ってくれたのはありがたかったですね。

ーベンチャー企業ではどんなことをしていたのですか?

加藤: 僕がアルバイトをしていた「ウタゴエ株式会社」では、当時は音声による楽曲検索サービス「うたごえ検索」やP2Pでの動画配信技術などに力を入れていました。しかし、アルバイトを始めた頃はちょうどiPhone 3Gが上陸したタイミングで、「これからはiPhoneアプリの時代がくる」という雰囲気になりました。社長がものすごいスピードでアプリを実装していて、あとはよろしくという形で暇そうにしていた僕が残りの作業を担当することになりました。

もちろん最初はさっぱりわからなかったんですが、iPhoneアプリのプログラミングを始めたあたりから、少しずつプログラミングが分かってきて、気づいたらオブジェクト指向なども理解ができるようになっていました。開発するのがおもしろくなったのもその辺りからだったと思います。

ー大学院では研究室で研究をしたり、アルバイト先で仕事しつつという生活だったんですね。当時、作っていたアプリを教えてください。

加藤: アルバイト先で作っていて、今でも開発が続いているものにプライベート日記アプリの「瞬間日記」があります。たぶん僕が書いたコードはもう残っていないと思いますが(笑)。その他には、研究室の友人と3人で手相占いをするアプリを作りました。

これはもうストアから消滅していますが、リリース直後に有料アプリのダウンロード数で1位になったんですよね。あの頃はまだリリースされるアプリ数もそんなに多くなく、運良くアプリ紹介サイトに取り上げられ、1万ダウンロードぐらいされて1位になりました。最終的には1位になってからの3日間がほとんどの売り上げで、合計で300万円くらいになったかと思います。

ー就職活動では、ウェブ関係を中心に企業を探していたのですか?

加藤: 就職活動を意識し始めた当時は研修がしっかりしていそうな大手企業を考えていました。ただ、大学院生時代にビジネスコンテストやハッカソンに参加、発表することができて自信がついてきたんです。そのあたりから段々と若い人が活躍しているウェブ業界で働いてみたいと興味を持ち、自分も活躍できるんじゃ無いかと調子にものっていましたね(笑)

とはいいつつ就活はそんなにがんばっていなくて、たまたま行った大学の合同説明会でグリー株式会社(以下、グリー)の説明を聞くことになりました。

新卒入社のグリーで新規ゲームの開発チームに抜擢

ーグリーは2010年ぐらいから盛り上がってきた時ですよね。

加藤: 説明会ではまさにマザーズへの上場や、ケータイゲームのヒットについてがホットトピックだったと思います。そこで紹介していたゲームがガラケーの画面だったのを見て、「もうスマホ時代に突入しているのにガラケーのサービスやってたら駄目じゃないですか?アプリにしないと」みたいな調子乗った質問をしたんですよね。

その生意気さが社員の方に気に入ってもらえたようで「面接を受けなよ」と誘われました。当時は、入社してもすぐに現場に配属されてエンジニアとしてやっていけるんじゃないかという謎の自信を持ってグリーに入りました。

ーさまざまな企業がある中で、最終的にグリーを選択した理由は何ですか?

加藤: 入社してすぐに現場に配属されるイメージを持ってたのがグリーだったんです。他の企業だと新入社員はまず研修がありますよね。私はいちからiPhoneアプリや、ビジネスコンテスト・ハッカソン用のサービス実装など、それなりにものを作った経験がありまして、もちろん私1人の成果ではないですが、ランキングに入り込むようなアプリを作れていたので、漠然と混ざって一緒に開発できるんじゃないかなという自信はありました。今考えると全然甘いレベルだったんですが(笑)

ーグリーに入社してからのキャリアを教えてください。

加藤: 入社後は既存ゲームの開発チームに配属されました。当時、グリーでは既存サービスのスマホシフトをし始めるところでした。私はガラケーのモバイルページを作りつつ、スマホにも対応させていくといったような仕事をしていました。その後3ヶ月ほど経ったタイミングで新規ゲームタイトルのチームに移りました。

ー入社3ヵ月で急なポジションチェンジになった理由は何だったのでしょうか?

加藤: 新規ゲームのチームに私が入るまでは、エース級エンジニア2人で先に進めていたようでした。あとあと聞いた話では、若手を入れて育てるという名目の元で、その二人が担当したくなかったガラケー向け画面の開発を馬車馬のように全部やらせようという思惑があったそうで、そこで私が選ばれていたようです(笑)

ー入社3ヶ月の実績があったからこその配属ですね。

加藤: おそらく、生意気なところが良くも悪くも評価されていたのかもしれません。そこからは、そのエース二人に鍛えられながら本当に馬車馬のように画面を作りまくってリリースにこぎつけました。ゲームをリリースし、画面作りにもだいぶ飽きがきていた頃、今度はゲームのロジック部分やっていいよと言われて、あまりの嬉しさに時間を忘れて新機能の実装などしていましたね。飴と鞭みたいな。

あの頃は自社プラットフォームがかなり強く、ヒットを狙いやすい状況でした。グリーでも社内の開発リソースをどんどん新しいゲーム開発に集中させていました。

ーその後は、どのようなキャリアを進んだのでしょうか?

加藤: 軌道に乗ったゲームは運用に特化した会社で運営移管することになり「加藤、お前1人で行ってきて」と言われて出向することになりました。移管されるゲームを最初から担当しており、全部わかるのは私しかいなかったので、会社としては合理的な判断だったと思います。

それもいい経験だなと感じたのと同時に、僕が移管作業をしている中、グリーではまた新しいゲームを作ろうと新たなチームができて盛り上がっていたのでちょっとさみしくなったんですよね。自分もそういう経験もっと積みたいんだけどなという感じで。そこが転職をちょっと考え始めたタイミングでした。その後、グリーに戻ってゲーム事業の共通部門である分析基盤の部門に移ったのですが、結局2年弱くらいで次のキャリアに挑戦することになりました。

ビッグデータ分析・最適化に浸かったフリークアウト時代

ー転職先としてフリークアウトを選んだ理由を教えてください。

加藤: 知人の紹介で、フリークアウトにDSP/RTBの話を聞きに行ったのがきっかけでした。無料で使える様々なWebサービスを支える存在として広告自体に興味もありましたし、当時日本で始まったばかりのRTBの仕組みを聞いて、これから伸びていくかもしれないなと魅力を感じました。

また、話を聞きにいった時のベンチャー企業の和気あいあいとした雰囲気に惹かれました。私の中でこういう規模の会社で働きたいなという思いがフリークアウトと合致していたのです。

DSP=広告のインプレッションが発生するたびに閲覧ユーザーや掲載面などの情報を分析し、リアルタイムにバイイングから広告配信までを行う広告主向け統合プラットフォーム。

ーフリークアウトではどんな仕事をしていましたか?

加藤: 最初の3、4ヵ月はDSPや管理画面の開発をやっていました。フリークアウトの社員はウェブ業界歴が長く熟練のPerlエンジニアが多く活躍している環境でした。それに比べて、私はPerlを書いたこともなかったし、そもそも広告業界における知識も追いつかずで転職してずっと「やばい」という危機感しかありませんでした。

ーその後は、どうやって挽回したのでしょうか。

加藤: 広告配信ログをより活用するためのHadoopでビッグデータ基盤を作るという話があり、ちょうど浮いてるコマみたいな感じだったのでそのチームの2人目として参加させてもらうことになりました。これも初めてでわからないことばかりで、安定運用させるのも大変だったんですが、大量のデータを守っているという感じがすごく楽しかったですね。

結局フリークアウトに入って約3年のほとんどを広告配信ログのデータエンジニアリング担当として過ごし、ほとんどのデータフローに関して自分が関わっていたかと思います。自分がログを活用できる場を用意したことで、データサイエンティストたちがそれを利用してCTRの予測などを行い、広告配信効果がどんどん良くなったり、新たな広告商品が開発されるのをみて非常にやりがいを感じ、自信にもつながりました。

「ニュースパス」の開発から採用担当へのキャリアチェンジ

ーさらに新しいチャレンジとしてGunosyを転職した後のことを教えてください。

加藤: 僕のグリー時代の同期に、現在のGunosyのCEOである竹谷がいるのですが、彼と久しぶりに飲んだのがきっかけです。あまり転職するつもりはなかったのですが、彼をはじめ、当時CTOだった松本などの開発メンバーと話をしているうちに気がついたらOKしてました。押しに弱いんですかね(笑)

Gunosyに転職してすぐに新たなサービスの開発プロジェクト(「ニュースパス」の開発)にアサインされました。半年後にリリースすることだけは決まっていてこれから開発するぞというタイミングで、社内の精鋭メンバーが集められました。私は主にインフラや前職の経験を生かしてデータフローなどを担当しました。リリースした後しばらくはマネージャーとして「ニュースパス」の開発チームを担当し、その後はアドネットワーク事業での広告配信の最適化プロジェクトのデータフローを再度担当しました。

ーGunosyで採用を担当するようになったきっかけは何ですか?

加藤: 社内では、中途・新卒を含めてなかなかエンジニアが採用できないという課題がありました。その時ちょうど新卒向けサマーインターンシップの企画を担当しており、そこから新卒だけでなくエンジニア採用全般に関わるようになって、課題がいろいろと見えてきたのがきっかけです。今考えればたまたまだと思うんですが、こうしたらうまくいくんじゃないかという施策がうまくハマりまして、なんとなく社内でも採用に関わっているイメージがついてきたころでした。

ー現在、加藤さんの役割としては技術開発室でVPoEをやりながら採用領域の責任者を担当されていますね。

加藤: VPoEの役割は会社によって少し違うところがあるかとおもいますが、Gunosyでは基本的にエンジニアの採用や育成、配置などをリードする存在としています。なので、VPoE としての仕事と採用担当は地続きみたいなものはあったりするので、線引きが難しい時があります。

また、現在は採用担当として、エンジニアだけでなく全社の採用チームもみています。そのため多くの部署とコミュニケーションをとる機会も多く、うまいことエンジニアの文化を社内に浸透させる立場としても活躍したいと思っています。といってもGunosyは当時学生のエンジニアが起業した会社でそんなにがんばらなくてもその文化が浸透しているような気もしますが(笑)

求められるところや修羅場で力を発揮する

ー加藤さんはさまざまな経験を積んできていますが、仕事のモチベーションはどんなところに見いだしているのでしょうか?

加藤: 誰もやってなさそうでやってくれると助かる仕事をやるのが好きなのかもしれないですね。もともと、学生時代のバイト先でも、当時社内で実験的だったiPhoneアプリを担当したり、グリーでもフリークアウトでもそういったところで成果を出して調子に乗るタイプだったかもしれません。

ー求められた役割の期待値を超えていくのが好きなんですね。

加藤: グリーやフリークアウトにいたときは「特技は障害対応です」と言っていました。火事場感と言うか、追い詰められている状況から乗り越えた後にいい思い出になっているのがすごく好きかもしれないですね。

1on1ではまずは相手の話を聞くこと

ー次に、加藤さんが取り組んでいる1on1について教えてください。

加藤: 基本だとは思うのですが1on1ではまず相手の話を聞く、困ったことがあるかなどをちゃんと聞くようにしています。ただ僕も話すことが好きなのでついついこっちから話してしまうことがあるのが課題ですが。

ーキャリアについて悩んでいるんですと言われたとき、本人のモヤモヤをどうやってスッキリさせているのか何かエピソードをあれば教えてください。

加藤: これは話し方を気をつけなければというのが常であるんですけれども、相手が話しているときに「それは違うよ」とさえぎるような話し方をせず、まずは相手が言いたいことをバーっと聞くようにしようとします。それぞれの背景やその悩みをなぜ持ったのかを聞いてその場では何かあまり明確には答えを出さないこともあります。

「#ポジティブ気味」で「#そこそこ社交的」な性格

ー周りの人からどんな人と言われることが多いですか?

加藤: どちらかと言うと話しやすいとか相談しやすいとか、話せば何かどこかに持ってってくれるというイメージはあるかなと思っています。

ー趣味やハマっていることはありますか?

加藤: 毎週、筋トレはしています。Gunosyに入社してから体を動かすのが楽しくなってきて。でも下手くそなんですよ。フットサルや野球もやっています。野球はIT LEAGUEというものに参加していて、出場機会はあまりないですが、一番出席率が高いです。他にも会社の活動には顔を出すようにしていて、部署をまたいで人と仲良くなるのが楽しいですね。

ーmgramの結果について教えてください。

加藤: 私の性格はmgramによると、ポジティブ気味、好奇心強め、少し優しい、協調性あり、行動がすばやい、誘惑に弱め、感受性高め、そこそこ社交的だそうです。

メンティーへのメッセージ

加藤: おそらく、私と話をして「よかったな」と感じてもらえるのは、「どうしたらいいか分からない」「極めたいものが見つからない」というタイプだと思います。漠然とエンジニアになりたいという人に対しては、自分のエピソードを含めて話をします。

逆に、「私はこれにこだわりを持って取り組みたいです」というタイプであれば、やったらいいじゃないかと背中を押しますね。あまり多くはないと思いますが、「キツイことを言ってほしい」というタイプであれば、それにもお応えすることは可能ですよ。

ーありがとうございました。